desire 　　　　　君は自由な小鳥。 　　　　　君が僕を見ないなら、 　　　　　いっそ　羽を切り落として鎖でつなぎ、 　　　　　籠に閉じ込めてしまおうか ―― 　　　さん…いや、。 　　　小さくて、可愛くて、綺麗で。 　　　愛しい、愛しい。 　　　必ず、僕のものにしてみせるよ… 「さん。一人で何してるの？」 「あ、不二先輩。私、今日日直だったんですけど、 　日誌持ってくの忘れて部活出ちゃって… 　先輩はもう部活終わったんですか？」 「うん。今終わったとこ。」 　　　“周助”って呼んでほしいのに。 　　　君にとっての僕は、いつでも“不二先輩”。 　　　僕が欲しいのは、そんな場所じゃないんだよ。 　　　だから… 「ねぇ…さん」 「はい？」 「僕とつきあわない？」 　　　その瞳に、僕以外映さないで。 　　　僕しかいらないと言って。 「君と海堂は、ただの幼なじみなんだよね。 　だったら構わないでしょ。 　僕とつきあおうよ、ね？」 　　　お願い。 　　　彼にしか見せない顔を、僕にも見せて。 　　　そして ―― 　　　未だ君自身も知らない、悦びに咲いた君の顔を。 　　　僕だけに見せてよ。 「…ふ、あはは… 　ヤダもう、先輩ってば、すぐまたそうやって 　私のことからかうんですから。 　そんな冗談言ったらダメですっ。 　先輩、女子の間でも人気あるんですから、 　そのへん自覚してくださいよぉ。」 　　　どうして？ 　　　どうして分かってくれないのかなぁ。 　　　僕が君をどれだけ愛しているか。 　　　君が僕をどれだけ狂わせているか。 　　　愛情、そして狂気。 　　　僕の中で渦巻くこの感情。 「…？　それに不二先輩も…？　何してんスか？」 「薫ちゃんっ！」 「海堂…」 「あのね、日誌取りに戻ったらちょうど不二先輩に会って、 　からかわれてたとこ。 　部活終わったんだよね？　せっかくだから一緒に帰ろうよ！」 「お、おう…」 　　　いつだって、僕の思いどおりにいっていた。 　　　望んだものは、全て手に入れてきた。 　　　おもしろいくらいにね。 　　　だけど、君だけは… 「それじゃあ不二先輩、さよーなら！」 「お疲れさまッした。失礼します…」 「あ、それから不二先輩っ！　もう悪い冗談はダメですよ？ 　それじゃっ」 「ああ、うん…」 　　　…………… 　　　また、逃げてしまったね。 　　　そうやって、君はいつも僕の腕をすり抜けていくんだ。 　　　だけど…は知ってる？ 　　　手に入れられないものほど、欲しくてたまらなくなるんだ。 　　　どんな手段を使っても、ね… 　　　君のその幼さで、僕の激情が少しずつ熱を帯びて。 　　　いずれ君を傷つけることになっても… 　　　それは、僕を見てくれなかった罰。 　　　全て君のせいなんだよ。 　　　。 　　　君を愛しているんだ。 　　　君を誰にも見せたくない。 　　　誰にも触れさせたくない。 　　　君の全てを奪いたい。 　　　僕の全てをぶつけたい。 　　　壊したいくらいに愛しているよ ―― 　　　そう、いつか必ず。 　　　僕のものにしてみせる。 　　　僕だけの、に ―― 　　　　　君は可憐な蝶々。 　　　　　君が僕を求めないなら、 　　　　　いっそ　その心臓をピンで貫き、 　　　　　ガラスの柩に飾ってしまおうか ―― Back