東西マドンナ対決 ここはU-17日本代表候補の合宿所。 深夜の休憩ルームで、従兄弟同士の侑士と謙也が 何やら夢中で話し込んでいる様子…。 侑士「せや、オモロイ話があんねん。 最近一つ下の後輩に好きな女の子ができてん。 ここに一緒に来とる鳳なんやけどな、 本人は大事な友達です言うとるんやけど どっからどう見たって惚れてるやろっちゅー…」 謙也「おるでぇ、うちの一つ下の後輩にも。 うちの財前なんかな、何年かぶりに再会したっちゅー 東京のお嬢さんやで？」 侑士「なんやて、どこの学校や？」 謙也「それがアイツ全っ然口割らへんねん。 せやけどな、ブログで写真見たらめっちゃ別嬪さんやったで。 顔小そうてお目々ぱっちりでお人形さんみたいや。」 侑士「なんやこっちのお姫さんなんか、やたら人懐こいわ かわええ顔してよう笑うわで、あんなん普通に惚れてまうわ。 そないなのに手ェ出さへんとか、ありえへんやろ。 ド天然っちゅーか、まーじれったいのなんのって…」 謙也「うちのもなぁ、生意気にただの友達や言い張ってんねんけど、 そもそも普段自分のこともたいして話さへんのに いきなりブログで女の子ネタかーい！て。 何食わん顔しといて、めっちゃ惚れてんでアレ…」 侑士「こっちなんかな、惚れすぎてキャラが渋滞しとんねん。 ええとこのボンボンで愛読書は楽譜や画集や言うてたのに、 いきなり少女漫画読んでごっつう泣いててん。 何しとんのや言うたら“男女の友情に自分らが重なる”やて、 いやだからそれラブロマンスやっちゅーねん。」 謙也「いやいやこっちなんかな、遠距離やからって文通してんやで？ 人の話もロクに聞かんで四六時中スマホいじっとるモバイルオタクが 文通やて、この令和の世に昭和か！っちゅーな。 大阪の夜景を見せたげるんや言うてぎょうさんポストカード買うてんけど、 東京の夜景には敵わへんやろっちゅー…もうツッコミが追いつかんわ。」 侑士「せや、こないだなんかな、なんや鼻歌歌うてんな思たら、 『パプリカ』やて、一緒にカラオケで歌って踊るんやて。 いやアレは名曲や思うし俺も米津は好きやけど、 そもそもアイツそういうキャラちゃうねんし。 月イチでオーケストラやらオペラやら行って、 音楽室でショパンとか弾いとったお前はどこ行ったんやと…」 謙也「うちのなんかな、いっつもやる気なさそーにクールぶっとるくせに、 こないだ久々に部活覗いたらいきなりサンシャイン池崎の モノマネかましてくんねん。 んでなんで池崎やねん言うたら、お嬢さんとの文通で 好きな芸人聞いたら池崎って返ってきたっちゅー話や。 後輩達もドン引きやし、完璧にキャラが迷走しとんねん。」 侑士「せやけどな、アイツもなかなか頑張っとんのやで？ お姫さんに贈るんや言うて、ピアノで曲作ってしもたんや。 どやっ？」 謙也「んで、そのお姫さんとやらの反応は？」 侑士「それがな、お姫さん楽譜読めんしピアノ弾けんしで、 まだ聴いてもらえてないっちゅーオチや。」 謙也「アカンやん！ せやかてこっちもスゴイねんで、 パソコンで曲作って送った言うてたでー！」 侑士「やるやん。んでお嬢さんとやらは何て？」 謙也「それがな、お嬢さんとんでもない機械オンチで、 再生もままならないちゅー話やねん。」 侑士「なんやねん、どっちもどっちやんなぁ…」 侑士・謙也「「あ。」」 鳳 「何か声がするなと思ったら… お二人とも、なんだか楽しそうですね。」 財前「めっちゃ張り合うてたみたいっスけど… なんの自慢大会っスか？」 謙也「なんや財前、眠れへんのか？」 財前「いや…ゲームしとったら海堂に早よ寝ろ言うて怒られまして。 なんやアイツ、俺に突っかかってくるんですわ。」 侑士「鳳も、こないな時間に起きとるなんて珍しいな。」 鳳 「はい…何か飲み物でもと思いまして。 こんなこと言っては申し訳ないんですが、 菊丸さんの寝言で目が覚めてしまって…」 侑士「ちょうど今お前のこと話しとってん。 一つ下にオモロイ後輩がいる言うて…」 鳳 「ええっ、俺のことですか？ そんな俺、たいしたことはしていませんが…」 謙也「こっちもな、お前の話してたんやわ。 うちの後輩のがオモロイねん、てな。」 財前「噂話とか、マジウザイっスわぁ先輩。」 侑士「まあまあ、鳳も財前も。 眠れへんなら俺らの部屋で一緒に話そか？」 鳳 「はいっ、お邪魔させていただきます！」 謙也「ホラ財前も行くで？」 財前「別にどーでもええですけど… ダルいんで、俺ゲームしてていいっスか？」 謙也「まあそんなん言わんと、 この機会にお前に聞きたいことが山ほどあんねん。」 財前「はぁ…めんどくさー…」 こうして夜は更けていく…この後の212号室、どうなることやら。 Back |